2009年4月12日日曜日

*不思議体験:短編集 Ⅲ*

 *** 道無き道 ***

 保育園来の友人、平たく言えば幼馴染の弘子…が、結婚して柳川の新居に移り住んだ。
それで、友人恵子と招待を受けたのだが、初めての家なので何処にあるのか分からず、迎えに来て貰うことになった。

 国道208号線から柳川市街に入るのだが、現在工事中で(新しい道を作っている)標識にも行き先の『柳川市街』にはガムテープが張られ、まだ、道が出来ていない事をさしていた。
 それで、旧街道から入って行くのだが、何分にも細い道を右折、左折しながらなので覚えられない。
「この柳川市街の道が出来たら、まっすぐ行けば良いんだけどね。」弘子はそう言いながら、運転していた。

・・・・・それから暫くして、弘子の家に行く用事が出来、ちゃんと辿り着けるかどうか…記憶をたぐりながら車を走らせていた。
 ふと、標識を見ると、『柳川市街』のところに前に貼ってあったガムテープが無かったので、「道が完成したんだな。」と、思って真新しい道を走らせて行った。すると見覚えのある道に出たところに、ガソリンスタンドが有ったので、そこで給油をすべき入って行った。
 ガソリンスタンドのお兄さん、何か不思議な顔をしながら給油してくれていたのだが、それが何故だったのかその時は考えもしなかった。

 その次は、恵子を乗せて…新しい道を通って弘子の家に行った。

 そして…あれは、雨の日だった。同じように新しい道を通っていたのだが、工事中…道が無い!
えっ?何故?パニックになって行ったり来たりしていると、標識のところに戻っていた。
 標識には…ガムテープが張ってある。
 「・・・・・・!」
近くに公衆電話(当時、携帯なんてまだ無かった。)があったので、弘子に電話して
 「今まで弘子の家に行く時は新しい道を通っていたんだけど…道が無くなって、工事中になってるの!」
 「えっ?…そこの道はまだ貫通してないわよ!5~6ヶ月先になるそうだけど…?」
 「なんで?私今までその道を通ってたんだけど…じゃあ、弘子ん家に行くにはどこの道を行ったら良いの?私知らないよ!」

 電話で詳しい道を教えてもらい、何とか彼女の家に辿り着いたのだが・・・

 今まで2度通った道はいったい…私は何処を通っていたんだろうか?
そう言えば、ガソリンスタンドのお兄さん…不思議そうな顔をしていたのはその性なのか。

 随分後から、2度目に通った時に一緒だった恵子に尋ねてみたのだが、彼女は覚えていなかった。

・・・・・・・・私は未来の道?を通っていたのか?

2 件のコメント:

  1. ぼん子さんの様々な体験はまるでタモリの「世にも奇妙な話」ですね。

    パニックになっても仕方ないですよね。
    誰かに話せば、変な人?と思われてしまいますね。

    いったいあの道はなんだったんでしょうね?
    そしてガソリンスタンドのお兄さん。
    ガソリンスタント自体もその後同じ場所にできたのでしょうか?

    いつもちゃんと元の世界に戻っていることが、ホッとさせられます。

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  2. めぐさん、

    そうなんですよね。本当に色んな体験をしているんですよね。

    ガソリンスタンドは、新しい道を降りたところにあって、言うなれば旧街道との接点の場所と言ったところでしょうか。

    前にも言いましたが、何分にも当の本人は反応が物凄く鈍く、それでいて深く考えない性格なので、そのままのほほ~んと暮らしておりました。
    でもこうして記憶の糸を手繰りながら、文章にしてみるとホント不思議体験のオンパレードですね。

    まだ、ありますのでその内ゆっくりと書いて行こうと思います。

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